FIRTEC が補正するもの
FIRTEC は、スピーカーの周波数特性と位相特性に生じるシステム由来の不整を時間領域で補正するデジタル信号処理のアーキテクチャです。信号全体が元の録音の時間構造を保つようにします。周波数の正確さだけでは足りません。同じくらい重要なのは、それぞれの周波数が他のすべての周波数と正しい関係を保ったまま聴き手に届くことです。
音楽が正しい時間の順序で届くと、空間の情報はより自然になります。声は舞台上でにじむのではなく、位置を得ます。楽器は全体の織りに溶けるのではなく、かたちを得ます。空間の混濁が減ります。聴くことはより静かで、情感的により直接になります。これは APANI の体験の中心にあるものです。
実装
FIRTEC はハードウェアとして、FPGA による信号経路のかたちで実装されています。24 ビットの AD/DA 変換を行い、クロスオーバー全体にわたって真の時間整合を取ります。プロセッサーは音楽をそれぞれの帯域へ、直線位相で、完全なタイミングで、ドライバー間の位相の揃った受け渡しとともに配ります。FIRTEC は特許 19823110 によって保護されています。
FIRTEC は 1990 年代半ばに Johannes Siegler が開発し、1996 年からスタジオ技術で、2000 年からはハイエンドのハイファイで成功裡に用いられ、のちに APANI Music Transformer 世代へと持ち込まれました。
時間的に正しい再生が重要な理由
周波数特性は、スピーカーが何を鳴らすかを教えます。位相特性は、いつ鳴らすかを教えます。人の聴覚は、本人が意識していようといまいと、時間にきわめて敏感です。だから時間の誤りは、居心地の悪さや疲れ、あるいは「装置が無理をしている」という漠然とした感じとして現れます。時間が正しければ逆のことが起こります。耳はほどけ、音場は所定の位置に収まり、音楽は聴かれるために分析される必要がなくなります。








